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文献ベースのエビデンスがあるパーキンソン病の理学療法
パーキンソン病に関してはさまざまな研究が進んでおり、すでにさまざまな文献や、それを元にしたガイドラインが発表されています。今回は、文献ベースのエビデンスがあるパーキンソン病の理学療法について紹介していきます。
パーキンソン病研究の現状
パーキンソン病の研究は長らく続けられてきており、病態の解明や治療研究については、これまでにめざましい発展を遂げてきています。しかし、適切な内科的・外科的治療を行ったとしても、症状の進行までは抑えることができない、というのが現状です。ただ、そこにリハビリテーションを組み合わせることで、症状のさらなる改善が期待されています。
ここでポイントになるのは、リハビリテーションが患者本人の参加する治療法であること。まわりからしてもらうだけでなく、自身が取り組むことでモチベーションが高まるだけでなく、家族の関心というのもより高くなります。リハビリテーションには個々の状態に適した介入方法があるため、内容については定期的に見直しながら行っていく必要がありますが、適切なプログラムで取り組み、体の機能改善を図ることができれば、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上が期待できます。
2011年以降の、リハビリのエビデンスは
学会では、「パーキンソン病治療ガイドライン2011」に示されたエビデンスを元に、リハビリテーションの効果が示されているものを紹介しています。
正しく質の高いエビデンスで行われたリハビリテーションは、身体機能、健康関連のQOL、筋力、バランス、歩行速度の改善に有効という研究結果が出ています。また、言語訓練もコミュニケーションに有効という報告があります。
運動療法に関しては、他の内科的・外科的な治療と併せて実施することで、より効果が見込まれます。また、セルフマネージメントによるリハビリテーションが軽症の段階から有効だということから、できるだけ早い時期から運動を積極的に行うことがより有益とされています。運動の内容についてもいろいろ検証が進んでおり、たとえば太極拳を行ったグループは同時期に筋トレやストレッチを行っていた人達と比べ、歩幅やバランステストなどのデータで上回りました。このことは太極拳は筋トレなどよりも歩行やバランスの面で有効という一つの裏付けになりますが、ラジオ体操などと組み合わせたときにどうなのか、という点も今後研究が進んでいくことでしょう。
エビデンスは万能ではない
ただ、学会ではエビデンスの課題も指摘されています。エビデンスはどうしても画一的なものになってしまうのですが、リハビリテーションの実践は個々によって内容が違うため、場合によっては続けていくことに大きな困難を伴ったものになってしまいかねません。また、日本においては保険診療とどう組み合わせて実施していくか、という問題もあります。こうした点は、今後エビデンスを広め、かつ個々人に合ったものにしていくための、大きな課題の一つとなるでしょう。
リハビリテーションを進めていく上で大切なこと
リハビリテーションの内容は個々の状態に合わせていく、という現状、リハビリテーションを行う患者に必要なのが、自分に適したエビデンスを選択していくことです。客観的な運動障害の評価方法、本人への聞き取りなどの情報収集を行うことで、患者自身が前向きに取り組め、なおかつ効果が出やすいものをチョイスしていくのが非常に大事になります。
ただ、こうした取り組みを個人で行うのは、非常に難しいところです。必要であれば、専門のリハビリ施設を頼り、アドバイスをもらったり、必要なエビデンスを提示してもらったりするのも一つの手段と言えるでしょう。
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